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マップディレクターが、自分で作ったマップを自分でレビューします。

「考古学者の憂鬱」レビュー Stage1〜10
by てくすち

Stage1「オッホス・フルール」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★
お気に度:★★★★
どことなく「慰霊碑」や「供犠台」を思わせる風貌。なぜかてくすちマップの先鋒にはこういう雰囲気の小品が多い。タイトルに「フルール」と冠してはいても、デザインの都合上石ブロックを使っているため、この後登場する他の「フルール」シリーズとは一線を画す存在だ。

これを作るとき問題になったのが、下段左右に配された足場の形である。純粋に手順だけを考えた場合、ここは必ずしも現在のようなL字型である必要はなく、たとえば1×1サイズの正方形とかでもよかった。というか、そうした方が「大外からブロック2個を回す」手筋がうまいダミーとなって、パズル的にむしろ良質であっただろう。なのにあえてそうしなかったのは、キノコなしでエビを潰すのがなかなか難しく、イチかバチかの一発勝負になってしまうからである。延々と逃げ回りながらせっせと準備を進めても、最後の最後でエビが思惑通りに動いてくれなければすべてがやり直し。さすがにそれでは運任せが過ぎると判断したのだ。
現在の形なら、エビが壁にひっかかるのでこちらの思い通りに動いてくれる確率が高く、仮にダメでもやり直しがききやすい。まあ「キノコ置けばいいじゃん」と言われたらそれまでのことだが…

ところで「オッホス」とはスペイン語で「眼」の意であり、一連の技の中では唯一"手"以外を咲かせるものとして知られている(※最近発売されたゲーム版では"足"を咲かせる技も登場した)。つまりあの方は、咲かせた眼から本体へ視覚情報を伝達できることが判明したわけだが、ということは、触覚や聴覚・嗅覚なども伝えられるのだろうか。感覚信号以外に物質そのものの転送、たとえば口を咲かせて遠隔で食事したり呼吸したりなんてこともできるのだろうか。他にもたとえば…失礼、ちょっと下品な例を想像してしまった。


Stage2「時の歯車」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★
お気に度:★★★
「時」を冠する作品は以前にもいくつか登場しているが、今回のマップでは本作も含めて合計8つもの"時"シリーズが登場する。シリーズといっても内容上特に共通する要素はないが、強いて言えばいずれもかなりの難度を誇っており、特に「時の鎖」「時のすきま」など後半面の凶悪さはすさまじい。それらのエース級に比べれば本作などはまだまだ小手調べに過ぎないが、それでも空中経験の浅いプレイヤーにとっては嶮難となることだろう。

で、本作は、形から見て分かるとおりStage11「時の天秤」と対になっている。というか、「時の天秤」で発見された別解からこの「時の歯車」が生まれたのだ。当初この「歯車」は補欠面に過ぎず、本来なら"ニコ"マップで出番が来ることはないはずだったが、たまたまレギュラー内定組から怪我(別解)人が続出したため、比較的安定していたこれが急遽Stage2として抜擢されたのである。残念ながらまったく使われずに余るブロックがあるため、正解を出しても「これ別解?」と思われてしまうのが口惜しいところだ。チャンスを掴んで表舞台に立ちはしたが、しょせんは別解から生まれた下賎の者。正統の良血には敵わないということだろうか。

ところで、ヒントにも書いてあるのだが、このマップではエビが1匹しかいない場合キノコを置かない決まりである。もちろんキノコなしで空中技をバシバシ決めていくのは容易なことではないが、レベル5ではそれもまたパズルのうちとみなされているのだ。もっともこの程度の誘導はStage12や24あたりに比べれば全然大したことはない。このへんで苦労しているようだと後々泣きを見るのは必至である。


Stage3「トレス・フルール」 (作:てくすち)

難易度:★★★★

苦心度:★★★

お気に度:★★★★
ニコマップ最大の目玉である「フルール」シリーズは、実質的にはここから始まる。
クリスタル以外のブロックを一切使わない「一色問題」は、以前から試してみたかったテーマの一つだ。その手始めに作られたのが「三輪咲き」で、その次に「六輪咲き」が作られたのだが、最初からこのようなタイトルで呼ばれていたわけではない。このシリーズに相応しい----数字に絡んでいて、なおかつ格調高そうな----妙趣なタイトルはないものかと思案の末、例の漫画(美貌の考古学者が歴史の真実を求めて海を冒険する物語)に啓発されて「トレス・フルール」「セイス・フルール」と命名。思えばこれがすべての間違いの始まりであった。
この後に20輪だの30輪だのと景気よく咲かれてしまうとは知る由もなく、あまつさえ最後には100輪などと言い出される始末。無茶言わないでください。

前置きが長くなってしまったが、攻略については特に言うべきこともないだろう。この「三輪」は全30ステージ中もっとも易しい問題といってよく、Stage1と2を解いた人なら苦も無く突破できるはずだ。何しろたった3個のクリスタル以外にブロックは登場せず、はっきり言ってこれ以上難しくしようもない。万が一この「三輪」に苦戦するようなら、この先に進むのはまだ時期尚早かもしれない。他のマップで空中技の基本を学んでからでも決して遅くはないだろう。

ちなみに上段の足場にある「穴」だが、これは試作の時点ではまだ開いていなかった。この穴にはもちろん幻惑的な意図もあるし、「環状地形」を作ってエビーラからいくらでも逃げ回れるようにしたいという思惑もあった。しかしこれがクリスタル運びに役立たないということくらいはすぐにわかるので、ダミーとしては大して役に立たないし、たいていの場合はこの穴を通る前に決着がついてしまうので「環」としてもあまり用をなさなかったようだ。少々残念ではある。


Stage4「クワトロ・フルール」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★★
お気に度:★★★
すべての"フルール"シリーズがそうであるように、本作にも当然空中系のネタが使われている。この面のネタは以前「おわり」の最終面で取り入れたことがあり基本的に初出ではないのだが、例の最終面は別解でもクリアできるので、今回初めて見るという人も多いことと思う。

本来は「一色問題を作ろう」という動機から始まったはずの"フルール"シリーズだが、このような因果なタイトルをつけたがために、原作中に登場する技を一通り作ろうなどという完全な本末転倒に陥った。「3」、「5」、「6」、「16」、「30」と来て、さらに「20」も用意して一息ついたのも束の間、ゲーム版に「4」や「10」が存在するとわかり、慌てて付け加えられたのがこの「四輪咲き」というわけだ。

それにしても「クワトロ」(4)という響きは、「トレス」(3)や「セイス」(6)にくらべるとどうにも雅やかでない。ハイセンスなあの方が本編でこの技を使っておられないのも頷ける気がする。そのせいというわけではないだろうが、3面や6面に比べるとこの4面は、どうも今ひとつ磨き切ることができなかったという思いだけが残る。
実は「四輪」にはもう一つ別の候補作があり、どちらを採用したものかと多少迷ってはいた。というのは、もう一つのほうはたいそう見目貌も麗しく、ちょっとした空中技も組み込まれていて素材的に申し分なかったからである。それがなぜ採用されなかったかと言うと、明らかに「特殊な空中押しを使わねばならない」という体が見え過ぎて、パズル的な面白味に欠けていたせいだ。いかにメンクイな作者といえども、ただイケメンなだけで中身のない者を選ぶことはありえない。


Stage5「シンコ・フルール」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★★
お気に度:★★★★
開発当初はどうにもうまくまとまらず、赤を混ぜてみたり敵をユニコーンに変えてみたりといろいろいじくり回していたのだが、最終的にはなんとかこの形に落ち着いた。

すぐ手近にゴールがあるのに、そこをクリスタルでふさいでしまうと他のクリスタル移動に支障をきたしてしまう。それがこのステージに仕掛けられた罠というわけだ。タネを明かせば左端のゴールを後回しにすればよいわけだが、それにはちょっとした小技を弄する必要がある。
逆に言えば、その小技一つさえ使えれば大して難しくないとも言え、少々物足りないと感じる人も多いだろう。しかしこの"ニコ"マップでは、ブロックやらモンスターやらを雨あられのごとく浴びせる辛辣な難解さよりも、「知恵の輪」を思わせるようなシンプルな美しさこそを追求している。そういう意味では、この「五輪咲き」や次の「六輪咲き」などは、まずまず成功した例と言えるだろう。

ところで、原作において過去一度だけ登場したことのある「五輪咲き」なのだが、なぜかアニメのほうでは「二十輪咲き」に変更されてしまっていた。演出上見た目を派手にしたかったのか、今ひとつ語感が滑らかでないせいなのか。それとも、音声で聞くとなんだか変な言葉にでも聞き違えてしまったのだろうか。


Stage6「セイス・フルール」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★★
お気に度:★★★★★
小気味よくまとまった一品。

要は「右端にどうやってクリスタルを持っていくか?」という出題だ。もちろんクリスタルをうず高く積み上げることができればラクに届く距離だが、実際に積んでみると壁が邪魔をして向こう側に回りこめないという仕掛けになっており、このあたりは我ながらなかなかスマートに処理できたと思う。難易度的にまだまだメインディッシュとまではいかないが、オードブルとしてはなかなかの逸品と言えるだろう。

この「六輪咲き」は、もとはといえばある一つの空中技を紹介するためだけに作られた面である。プレイヤーの方にはあまり共感頂けないこととは思うが、「このネタを使う」と決め打ちしてステージを作るのは、いろいろ制約があってなかなかしんどいものだ。まして私の場合、誰に言われたわけでもないのに「クリスタルを6個だけ」などと自ら制限をかけて勝手に追いつめられたりするうえ、完成したステージを「美しくない」などと言って片端から叩き割ってしまう奇病に冒されていて、さっぱり開発が進まない。困ったものである。


Stage7「禁じられたメロディ」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★★
お気に度:★★★
禁じられ三部作の一つ目。厳密にいえば29面を含めて四部作と言うべきかもしれない。

この面の解き方は若干変則的ではあるものの、空中押しや割り逃げなどのテクニックに長けた諸兄にはむしろ気付きやすいものであるらしく、比較的多くのプレイヤーが突破に成功しているようだ。まあ「メロディ」はあくまで前座という位置付けであるからして、17面「リズム」や27面「ハーモニー」に当たる前に少しでも先入観を植え付けることができたのなら、その役割は十分に果たしたといえる。

なお、最初のバージョンでは左右のどちらからも同じ組み方で突破することができるほか、ブロックを1つ余してクリアする方法さえ確認されていた。そこでVer.2への改訂では、どちらか一方からしか行けないように改造が施されることとなった。とは言っても、本解と別解でそれほど本質的な差があるわけではない。少なくとも、このステージだけのためにVer.2をプレイし直すほどのものではないだろう。


Stage8「ハシント・マニャーナ(午前の風信子)」 (作:てくすち)
難易度:★★★★
苦心度:★★★★★
お気に度:★★★
「マニャーナ」は本来「明日」の意であり、「午前」といいたいのなら「ラ・マニャーナ」とつづらなければならない。しかしそれはスペイン語での話であって、例の漫画の世界観上ではまた異なる設定があるのかもしれない(誰もスペイン語だとは言ってないのだし)。

さて本作は、「フルール」と並ぶもう一つの目玉、「ハナハナ」シリーズの一番手である。キノコが無くても解けることはすでにメールマガジン等でカミングアウト済みだが、このキノコは別に余ったわけではなく、また、クリアを楽にするための補助としてのみ置かれているわけでもない。これが置かれていることで増える選択の幅が、結果的にこの面の難易度を上げるだろうと期待しての措置である。キノコがあるためにかえって正解にたどり着きにくくなるという興味深い例だ。

もちろん、エビーラ ユニコーン()の居る面に1個とはいえキノコを置くのは大変なリスクをともなう。当然、新たな別解を生み出している恐れも十分にあったわけだが、現在のところはそれらしい報告も寄せられておらずひとまずは安心といったところだ。なお、キーポイントとなる空中押しは左右どちら側でも成立するが、これは内容的に同旨のものと考えられており、別解扱いされてはいない。
    最初エビーラと書いたら某掲示板で突っ込まれたので修正したけどただこっそり何事もなかったかのように直して事実を隠蔽してしまうのも漢らしくないなあとか思ってSTRIKEしてみたけどそしたら元ネタ知らない人はなんでSTRIKEしてあるのかわからねえじゃん!!ということでこんなところに補足を入れてみたり。というわけで本誌でしかわからないネタをやってしまって単行本化のときに困る漫画家のようなことになってみたり何で「もとねた」を変換したら「下ネタ」とか出てきたのか不思議がってみたり。


Stage9「カメーリア・ダルデ(午後の椿)」 (作:てくすち)
難易度:★★★★★
苦心度:★★★★★
お気に度:★★★
一見して分かる通り、「午前」と「午後」はユニコーンの位置以外まったく同形という趣向である。作者はとにかくこういう遊びをやたらに好み、この性癖のせいで何度も痛い目(共通解)にあっているというのにまだ懲りていない。「午前」と「午後」というような関連性の深いタイトルを見ると、発作的に似たような構成の姉妹面を作ってしまうという恐ろしい病に冒されているのだ。幸いこの病気に伝染性はないようで、他のデザイナーには今のところ発症の兆候は見られないが、すでに感染していて潜伏期間に入っている可能性もあり、油断はできない。なおこのように韻を踏んだステージ構成は、本作の他Stage14/15あたりにも見られるので注目していただきたい。

で、この「午後」を「午前」を比べてみたとき、たいていのプレイヤーなら、ベーシックな二重殺問題に過ぎない「午前」よりも、トリッキーな空中押しを要求する「午後」のほうを難しく感じると思うのだが、中には「午前」のほうが難しいという者もいて評価は割れる。作者側としては、「午後」を易しいと感じる理由が「別解」でないことを祈るばかりである。それにしても、どうしてtardeが「ダルデ」になるのだろうか。


Stage10「ディエース・フルール」 (作:てくすち)
難易度:★★★★★
苦心度:★★★★★
お気に度:★★★★
「四輪」のところで触れたように、「十輪」というのはゲーム版にのみ登場している技で原作には無い。原作ファンの知り合いからゲーム版のことを聞かされ、急遽「四輪」と「十輪」を追加したわけだ。実を言えばこのゲームには「一輪」や「二輪」といった技も登場しているのだが、さすがにクリスタル1個や2個ではレベル5のパズルが成立するはずもない。ある意味では「シエン・フルール(百花繚乱)」よりも開発困難と言えるだろう。

「一色」問題はクリスタルのみを使用するが故、宿命的に高レベルの問題が作り難い。ましてレベル5の問題を作るとなれば、何か特殊な空中技を取り入れるくらいしか手が無く、この「フルール」シリーズを完成させるにあたっては、これまで封印されていた数々の奥義が在庫一掃セールにかけられることとなった。
その中でも、この「十輪」で使われている技はとりわけ特殊である。奇異と言ってもいい。あまりに特殊過ぎて、そんな技をわざわざ使わなければならないシチュエーションが思いつかないほどだ。今回は半角穴をガリガリ掘るという荒療治によって、この技を使わせる理由を無理やりこじつけてみたが、この奇怪な技が他のステージで再登場することはおそらくもうあるまい。